YESTERDAY

音楽とお酒

お酒と音楽は、二つで一つ。
歌には詳しくない人も、お酒には音楽が必要だと思う。騒いでビール飲むなら、ロック・ミュージック。お洒落なワインと、クラシック。日本酒は演歌?  ウィスキーに響くJAZZ。
でもここで、私はシャンソンを推してみたい。
昔、シャンソンBarという所に行ったことがある。出されたのは一杯のワイン。他には食事も何もない。MENUに書かれているのはただ、シャンソンの名曲たちばかり。そこはワインを飲みながら、シャンソンの歌を注文するBarだった。
目の前に、夢のようなドレスの女性が現れる。
暗い店内、スポット・ライト。先程、ワインを運んでくれた店員が、ピアノ伴奏者に早変わり。宙に浮いて見える空間に、静かに音楽が流れはじめる。誰も一言も話さない。唯一届いてくる声が、 私の為に、私が選んだ曲を歌ってくれる。
あの歌声は、今も忘れない。
ワインにも、ブランデーにもウィスキーにも。あなたの家でも是非、お酒の隣にシャンソンを。

2020/2/14

BLUE

今日は、飲みに出るのやめとこうかな。
…… なんて思うこと、ありますか? お酒を飲む時はよく、折角だから楽しみたい、という気持ちがわいてくる。ブルーな夜は、何だか損した気がしてしまう。
けれども、お酒は気分を紛らわせる為の物でもある。
頑張れない時でもいい。頑張って飲むものではない。落ち込んでいる時に酒に逃げると、ドツボにはまる事例はあるにしても。夜のBarカウンターは、はしゃぐ為だけにあるのではない。
もう、子供ではないのだし。
にぎやかな居酒屋ならば、静かだと寂しい気にもなる。一人ではaway感を感じるかも知れない。けれど、静かなBarなら話は違う。はしゃがないのが礼儀だと、考えておけばいい。
お財布の都合上、店での高い酒はあまり、飲み過ぎてしまう心配がない。安い酒を家で一人、飲んでいるよりずっと良い。場所が変われば気分も変わる。カウンターの向こうには人がいる。もしかしたら、隣にも誰か居てくれるかもしれない。
…… あなたと、どこか似ている誰か。

2020/2/14

ラブ・ミー・テンダー

そんな名曲、あったかな。
バーテンダーという言葉の意味は、「やさしい人」なのだと聞いた。BARにいる優しい人、だからバー・テンダー。いつもお酒を出してくれる人、じゃなかったのね。
バーテンダーはシェイカーをふる。お酒に詳しく、人生にも詳しい。そんな勝手なイメージがあった。ベテランになると、十数年もカウンターに立ち続けたり。
…… 対してスカラ座には、若いバーテンさんが多い。
勿論、彼らもシェイカーをふる。ちゃんとカクテルを出してくれる。でも実はアルバイト店員、と言う人に意外とお会いする。副業として、或いは学生とか。学生にはいいアルバイトだと思う。昼間の学業と重ならないし、『俺、学生の頃バーテンやってたんだよね』なんて、ちょっと格好良い。
そして、彼らは昼間の世界へ戻っていく。
Love me tender Love me sweet
Never let me go
You have made my life complete
And I love you so …
夜の底から。
また、私にお酒をつくってくれますか。

2020/2/14

たとえば・・・

お酒って、何だろう。
意味があるから、飲んでるの? 理由があるから飲んでるの。そう言うことも、あるかもしれない。でも、美味しいから? 楽しいから? 飲めと言われるから飲んでるの。 きっと、本当は何もない。何物でもないのだと思う。
そんな、つまらないことを考えていたら、グラスが空になっていた。仕方がないから、もう一杯。役に立たなくても飲むお酒。
…… お酒って、何だろう?
意味を探すこの問いの、答えを何となく知っている。そのことを、誰もがわかっているけれど、本当には深く考えない。
たとえば、お酒というこの単語を、他の言葉に置き換えてみてもいい。たとえば、『明日』。たとえば、『私』。たとえば『立場』、たとえば『証明』。たとえば『結果』、たとえば『名前』、たとえば …。
…… きっと、何物でもない。
お酒は、人生の縮図。

2020/2/14

命の泉

生き返る……!
これが不老不死の薬だと言われても、信じてしまいそうな美しいお酒。舌が痺れる甘い味、酒飲みは酒を飲みたがる。『酒は百薬の長』なんて、言ったのは一体誰だろう。
…… でも、それって本当に?
とある疫学調査では、少しの酒は身体に良い、という結果が出たらしい。虚血性心疾患や脳梗塞で、お酒を飲まない人よりも、少量飲酒者の方がリスクが低くなったと言う。
ただし、あくまでも『 少量 』飲酒者。
酒量が増えればリスクは急上昇、危険度のグラフはJカーブを描く。認知症、肝臓・膵臓障害に、メタボリック・シンドローム。アルコールと言う物質そのものに、発癌性があると言われても驚かない。
…… お薬じゃ、ないのよ??
でも楽しい。だから飲む。たとえ毒だと言われても、毒だからこそ飲みたいお酒。
やっぱり、生き返る~~~!

2020/1/15
2019/12/31